Dreams

□尊敬=愛
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獄)十代目っ愛してます
 
 夕暮れの校舎。俺は銀色になびく猫の様にさらさらとした髪に誰もが逃げそうな怖い顔。そしてそんな君が俺だけに見せてくれた恥ずかしくとまどった表情。

ツナ)俺も好きだよ。獄寺君のこと

獄)ほんとっすか。

ツナ)その代わり、俺のことツナって呼んでくれないかな?

獄)十代目っ? それはダメです。俺は十代目の右腕ですから

俺は床に視線を向けながら軽く頬を赤らめてはみかみながら答えた。その言葉を聞けば獄寺君は目を大きく開けて輝かせて嬉しそうに笑いながら言った。
 だから俺はそんな君を独占したかったんだ。だから俺はちょっとした我が儘を目をそらしながらとぎれとぎれに成りながらも言った。獄寺君はその言葉に首を傾げれば首を横に振れば淡々に成りながら即答された。それからまた明るくなって堂々と胸を貼りながら自分の胸元を指で二回たたいて言った。
 俺は何が悲しかったのか自然と泣いていた。獄寺君はおろおろとしながらも俺の頭をなでて来る。でもこれは俺が『次期ボンゴレボス』だからであって、『沢田綱吉』だからではない。

ツナ)俺がもし普通の中学生でも獄寺君は一緒にいてくれた?

獄)はいっ。十代目……じゃなかった……ツナ

俺は、獄寺君の制服の裾を強く握りしめれば止まることを知らない涙にはお構いなく心にたまったわだかまりをはき出すように弱々しく言った。
 獄寺君はとまどいもなく優しく包み込むような笑顔で言えば、いつもと同じように俺の名を呼べば、恥ずかしさで顔が赤くなり目をそらしながらもゆっくりと一番俺の聞きたかった言葉を言ってくれた。
 俺はそれが嬉しくてしょうがなくて今度は又違う意味の涙を流しながら笑った。

ツナ)獄寺君っ今日バレンタインデーでさ京子ちゃんたちと作ったんだ。だからこれ……その……あげるよ

俺はバックから小さめの箱を取り出せばまだ恥ずかしくて赤面している獄寺君の名を呼んで箱を持つ手に力を込めながら自分の温度で溶けるのではないかと心配になりながらも言葉を紡いで獄寺君の胸元に押しつけた。

獄)ありがとうございますっ十代目……大切に保存させていただきます

 獄寺君は押しつけて形が変形した箱を大事に持ちながら心から嬉しそうに言った。 俺はそれが愛おしく思えて自分の作ったチョコを箱から出せば口に含んで獄寺君の襟を引っ張れば驚いた顔をして硬直する獄寺君の唇に重ねた。チョコは二人の中で溶けていった。俺は獄寺君の真っ赤に染まった顔と何が起こったか分らなくて硬直した姿を見ればしまったなと後悔した。

ツナ)ゴメンね獄寺君。

獄)美味しっす十代目

 俺はひとまず謝れば笑ってごまかした。獄寺君は口元に付いたチョコを指ですくってなめれば俺を心配させないためかにっこりと笑いかけながら言った。
 俺は、やっぱり幸せ者だなとつくづく感じた。
 そして俺らは手を堅く繋ぎもう日が沈む太陽に背を向けながら校舎を後にした。
               END
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