魔法

□手のひらにブルー
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死ネタ注意!
タイトルは狗眼さまから。









唐突に、アリアのことを思いだした。


いや、そう言うと語弊がある。
本当はいつだって、彼女のことは考えていたのだから。

正確に言えば別れを告げた日のことを思いだしたのだ。




あの時の彼女の瞳は、それまでに見た何よりも、美しかったのを覚えている。

滲む紺青。深い夜の色。
僕の大好きだった色。


愛おしさに手を伸ばしてしまいそうで、抑えるのに必死だった。




あれから何年経っただろう。

今アリアは何をしているのだろうか。
この暗黒の時代だけど、無事に暮らしているといい。

花のように、優しく儚くわらう君によく似合う、素敵な人を見つけて、人並みの幸せを手に入れて。

誰から見ても幸せであれ。





あの日君に伸ばせなかった手のひらを、ゆっくり持ち上げて天上にかざす。


さっきまでは濁った碧だと思っていたのに、ああこれは君の瞳と同じ色。
最期にこれを見せてくれるなんて、カミサマはいるのかもしれないな。


自然に口角があがる。



ねぇアリア、僕はとても幸せだった。

もう二度と逢えないけど、カミサマを信じてみれば、来世でまた逢えるかな。




そうしたら今度こそ、僕の手で君を幸せに。





こぽり、最後に溢れた空気の粒は、君の泪のようだった。








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