テニプリnovel
□君が好きなんだ
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「今日は桃と一緒じゃないのかい?」
「あ、不二先輩スか。桃先輩なら先に帰ったけど。欲しいものがあるからって」
「そっか…」
何を考えているのか分からないような表情で何時ものように微笑んでいる不二。
だけど越前はそれ程気にも止めていない様子で、部活が終わった何時もの暗い道を歩いている。
「桃先輩に用だったんスか?」
「いいや、用があったのは君だよ」
「…俺?」
てっきり桃城に用があるのだとばかり思っていた越前は少しビックリしたような表情を浮かべた。
「今、暇かな?」
「まぁ、暇だけど」
「じゃあ、ちょっと僕の用事に付き合ってくれるかい?」
「別にいいっスよ」
越前から了解を得て不二は満足げな笑みを浮かべた。
否、いつもと変わらないいつもの笑みで。
「よかったぁ!じゃあ、行こうか。越前」
「ウッス。…で、どこ行くんスか?」
「あぁ。まだ秘密」
クスッと笑う不二だったが逆に越前はムッとしていた。
「教えてくれたっていいじゃん」
「慌てるなよ。時期に分かるんだからさ」
全然変わらない不二の表情。
何を考えているのか全く読めない。
「…ちぇ」