バトテニBL小説
□地獄絵図
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「ハァ…ハァ…」
息がこんなにも早く上がるなんて思わなかった。
柳生にとってこんな距離、大したことない運動量だった。
「…仕方ないですね」
走るのは諦め、柳生は荒い息を吐きながら木をたてにして後ろを振り向く。
「あれ?柳生くん。もう鬼ごっこは終わり?」
柳生が止まり、先ほどまで追いかけ回していた千石も足を止める。
「どういうつもりですか?」
「どうって…。そんなの決まってるでしょ」
千石は手に持っていた銃を柳生に向けた。
「…ゲームに乗るってことですね」
「うん。だってまだ生きたいしね」
信じられなかった。
こんなゲームに乗る奴がいたなんて…。
「千石くん。ですが、これは一人しか生きられないんですよ?」
「そんなの知ってるよ。だから、俺がその一人になるんだし」
「そう簡単にいくわけがないと思いますが…」
「上手くいくに決まってるじゃん」
ニッコリと微笑む千石に柳生は恐怖を感じた。
本気で殺すのを楽しんでいるようだ。
「じゃあ、お話はおしまい!柳生くん。死んでくれるよね?」
千石は銃を柳生に向け、発砲する。
「っ!」
「ダメだよ。木に隠れるなんてさ」