春夏の傷(想華之章)
□誓い立てし龍王の舞
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―――天龍帝邸・庭
淡い紫色の小さな花々が風に、揺られる。白い椅子に座る人物はお茶をしていた。
「天様…」
同じ色の炎色の瞳がお互いに合うと、仄かな微笑を湛えた。
「獅王か。華月は、戻ってきたのだろうな…」
「えぇっ…」
「まったく、困った姫君だ…」
「姫が、アラディーナ討伐戦に出る事はご存知ですか?」
半分呆れた口調だが、表情は至って穏やかだ。 天は手にしていた湯呑みをテーブルに置く。
獅王の父、天は十五龍神の一人『天龍』であり、六代翁の一人でもある。
六代翁とは、地位、名誉、戦闘能力が長けている者しかなれない。
「煌威から聞いている」
炎色の双眸が細まり、座る様に合図をした。