春夏の傷(想華之章)

□廻る運命の時計
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――天神界・サチェ・書斎部屋


レースのカーテンは、窓から入る風に吹かれ舞う。書斎机にスヤスヤと寝息を立てている女性は、夢の中だ。
そっと開かれたドアから少々、驚ろいた様子の男性が入ってきた。


「華月…」


「んっ」


「風邪引くぞ…」


頬を指で突く。
声に気付いた彼女は眠たい眼を開き欠伸をした。うつ伏せ状態で寝ていたせいか、妙に節々が痛い。
くいっと、手を伸ばし眠気を飛ばそうとする。


「昨夜は…徹夜だったのか?」


「いいや…」


男性に聞かれ、首を横に振る。


「うたた寝とは、珍しいな」


「夢を見ていた。まだ、幼き頃の自分の…両親が亡くなったあの日の夢を…」


うたた寝の経緯を素直に話す。
そして、男性が手にしている書類を摘まみ取り、目を通した。
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