春夏の傷(想華之章)
□想う花言葉は、言の葉に…
1ページ/3ページ
――天神界・サチェ・書斎部屋
時が経つのは本当に早い。
そう思う様になったのは、やはり…
「母様ぁぁぁ…」
我が子が居るせいかも知れない。
「今日は、自棄にご機嫌ね…聖月。入ってらっしゃい」
「んふふふっ」
にっこりと微笑む息子は、ズボンのポケットから一枚の葉を取り出した。
「椿の葉に乗せるなんて…面白いよね!」
「誰から?」
「父様だと思ったんだけど…」
私に椿の葉を渡す。
聖月は父親からだと思ったみたいで、空から舞ってきたのをキャッチしたらしい。
事実、緋月もよく言の葉を飛ばしてくるからな。
渡された葉に記された言葉を瞳に入れた瞬間、固まる。
「そこに記されている“黒薔薇の胡蝶”って、父様は使わないもんね!間違って飛んできちゃったのかな?」