春夏の傷(想華之章)

□想う花言葉は、言の葉に…
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――天神界・サチェ・書斎部屋


時が経つのは本当に早い。
そう思う様になったのは、やはり…


「母様ぁぁぁ…」


我が子が居るせいかも知れない。


「今日は、自棄にご機嫌ね…聖月。入ってらっしゃい」


「んふふふっ」


にっこりと微笑む息子は、ズボンのポケットから一枚の葉を取り出した。


「椿の葉に乗せるなんて…面白いよね!」


「誰から?」


「父様だと思ったんだけど…」


私に椿の葉を渡す。

聖月は父親からだと思ったみたいで、空から舞ってきたのをキャッチしたらしい。

事実、緋月もよく言の葉を飛ばしてくるからな。


渡された葉に記された言葉を瞳に入れた瞬間、固まる。


「そこに記されている“黒薔薇の胡蝶”って、父様は使わないもんね!間違って飛んできちゃったのかな?」
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