薔薇の詩(うた) 月の詩(うた)
□父さん……
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幼い時に…僕は貴方の存在を知らない。
記憶に残ってはいない。
僕は…此処に居るよ。
貴方の事…“父さん”って認めてるよ。
逢いたいよ……
ねぇ……声が聞きたい。
顔を間近で見たいよ。
僕の存在を忘れましたか?
貴方と母の背を見て…立派に育つハズだった自分───
けど……逃避行に走った。
幻で父さんを追っていたんだ。
振り向いて欲しくって………
僕と言う人間を知って欲しくって………
抱きしめてもらいたい。
『大きくなったな』って…笑いながら言って欲しい。
父さん。父………さん
何度も夢で呼びかけてるよ。
夢で見る父さんは……優しい笑みを浮かべてるの。
僕は…その優しい笑みが好き。
父さん……何処に居るの?
何で連絡くれないの?
逢いに来てくれないの?
僕は逢いたいよ。成長した姿を見て欲しいよ………
結婚式にだって出て欲しいんだよ。
母の事……恨んでる?
だから……だから……逢いに来ないの?
夢じゃなく…
現実で逢ってよ。
寂しいよ……
僕は……父さんの血が流れている子供のうちの一人だよ。
それでも貴方を待っている。
貴方に付けてもらった名前…
僕の………宝だよ。
父さん……逢いたい。