真夏の雨

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彼女、中村 妃由と出逢ったのは運命と言うべきだろう。当時の俺は途方に暮れていた。
だから、妃由との出逢いは神様が導いてくれたに違いない。
茶色い髪に色素の瞳が特徴的と言えば特徴だろうが、俺は彼女の心底にある何かを感じた。
好きになる時間は掛からなかったと思う。年齢差を気にしている暇すらも、その時は無かった。

余裕が無いだの、焦っていただの…

間違いなく彼女も薄々気付いていただろう。

可笑しな話だ。
二十三歳も離れた女性になりかけの少女を好きになるとか。

いや、俺にはベストだったのかも知れない。無表情で、無愛想で、怒っている様にも見える妃由だけれど…

本当は単に表現に困っているだけ。

そこに気付いた瞬間、自分は役得だと思ったよ。周りの人間より有利な状況だと…
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