サモナイ4
□ある雨の日の事。
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仕事も一段落するお昼過ぎ、突然バケツをひっくり返したような雨が降り出した。
それから暫く 騒々しい雨音を何となく聞いていたのだが、不意に玄関の戸が開く音がしたのだった。
---ある雨の日の事。
…悪いな、びしょ濡れで。
戸を開けたその向こう側…、そこには我が町の駐在軍人殿が申し訳無さそうに立っていた。
ライは慌てて中へと招き入れ、全身ずぶ濡れの彼を そのまま風呂場へと直行させた。 そして今へと至る。
「駐在さん、風邪ひかないかな…」
雷の音に怯えてか、毛布にくるまっているコーラルが心配そうに呟いた。
「大丈夫だろ」
そんなコーラルの様子を微笑ましく見つめながら、あっさりとライは断言する。
きょとんとした顔のコーラル。
「どうして?」
「ほら、よく言う"何とかは風邪ひかな…"」
「誰が何だって?」
「あ」
噂をすればなんとやら。 どことなく不機嫌そうなグラッドがいつの間にか仁王立ちしていた。 いつもと違い 後ろ髪は力無く垂れ下がっていて、ライが適当に出しておいた浴衣を羽織っている。
いかにも お風呂上がりといった感じだ。
そんなグラッドの姿に、不覚にもほんの少しだけときめいてしまったライは 悔しそうに眉をひそめた。
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