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□第三章 〜capitale〜 <前>
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「あれ?」

 ふと、見慣れた髪の色を見かけた。

 それは自分の宿のお得意さんであり、弟を探す、と言っていた青年のものだった。

 声をかけようと思ったが、ふとその隣に居る少女が目に入る。


「……デート?」


 赤い髪の少女と、その青年。

 楽しそうに笑いあいながら町の雑踏の中に消えた彼らに、ふと笑みがこぼれる。

 青年は、三年前から弟を探しているらしい。

 それは鬼気迫る気迫を伴ったもので……そして、余裕の無いものだった。

 だが。


「いい事いい事☆」


 デートをするだけの余裕が出来たのなら、いい事だ。




 そのまま、長い間お世話になっている精肉店から注文していた商品を受け取り、自身の宿……とはいっても親から譲り受けたものだが、そこへと足を向ける。




 まだ自分は十七だ。



 普通なら働くことは許されても店を持つことなど許されない。


 が、王が許可を下さったのである。


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