beatmania UDX

□【Bloody Dream】
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 日は沈む。
 それは違え様の無い運命。
 月は欠ける。
 それも違え様の無い運命。
 そして、自分がこうして血を見る事になっているのも、また……


【Bloody Dream】


『 ヨ ク モ 』
 最近、またあの夢を見ることが多くなった。
 昔。
 自分がまだアメリカの兵士だった頃の、夢だ。

『 ヨ ク モ 、 ワ タ シ タ チ ヲ コ ロ シ テ ク レ タ ナ 』

 あぁ、そうだ。
 俺は、人を殺した。
 命令だった。
 戦争だったんだ。
 仕方がなかった!
 俺は、目の前に居る麻布を被ったこの国の住人に銃を向け、トリガーを、引く。



ぱぁん



 あっけないほど簡単に、その人物は事切れた。
 荒れ果てた街。
 響く銃声。
 自分達の制圧地点。
 むせ返る硝煙の匂い。
 ここに生きている実感が、ふつふつと沸いてくる。

……どうして、ここに居るのだろう……

 もう、とうの昔にアメリカの兵士は、辞めたはずだ。
 どうして、戦場に自分は……?
 にわかに恐ろしくなる。
「***!」
 声が聞こえ、同じように麻布を被った住人達が、倒れている人に駆け寄ってくる。
 1人……2人……3人……
 何人もが駆け寄り、身体を揺さぶり、声をかけている。
 その声が、どこかとても遠くて。
「ああああああああ!!」
 その中の1人が……少女が、殴りかかってきた。

ぱぁん

 乾いた音。
 倒れる少女。
 手に残るのは、銃の反動による軽い痺れ。

ぱぁん ぱぁん ぱぁん……

 少女の手を引いて逃げようとする少年。
 向かってこようとする青年。
 泣いている少女。
 少女を庇う男性。
 すべてを、打って。

 残ったのは、少女が、ただ1人。

「よくもぉぉぉぉっ!!」
 殴りかかってくる。
 自分は、なんの感情も無く。
 引き金を、引いて。





 絶句した。





 少女は倒れる。
 麻布を取り残して。
 少女は倒れる。
 その顔を晒して。

「え、り、か……?」

 誰を打った。
 誰を打った誰を誰をだれをダレをだれを!!

 倒れた。
 仰向けに。
 少女は、その顔を俺に見せ付けるかのように、仰向けに倒れた。

 それは、確かに。





 エリカだった。


「ぁ……」


 最初に、俺が打ち抜いたのは。

 士朗。


「そ、んな……」


 逃げようとしていた少女と少年は。

 津軽。
 達磨。


「あり、えねぇよ……」


 向かってこようとした青年は。

 慧靂。
 鉄火。
 セム。
 英利。
 ケイナ。


「みん、な……」


 守られていた少女は。

 セリカ。
 リリス。
 彩葉。


「嘘だろ……なんで……」


 守っていた、男性は。

 識。
 孔雀。
 サイレン。
 ユーズ。

 俺は。
 おれは。
 皆を、ころし、た。




「うああああああああああああっ!」



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