†...Pigeon Blood...†
□出遭った光達
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ふと気付いたら、そこは見知らぬ土地だった。
どうやら何かしらの基地(どうしてそう思ったのかは分からない)の中にある中庭らしい。
やさしい、緑の匂いが風に乗って運ばれてくる。
「こらー、そこの奴ー。」
聞こえた声に後ろを振り向くと、ピンクの髪をした女性が歩いてきていた。
「どこから入ったの。
ここは関係者以外立ち入り……」
「すみません、ここ、どこですか?」
「は?」
分からないから聞いたのに、かなり不審そうな顔で見られる。
「あなた、名前は?」
名前?
考えてみる。
考えてみる。
……………。
「……すいません。」
「なぁに?」
「俺、誰ですか?」
………………。
長い沈黙の後、彼女が発したのはたった一言。
「はぁ?」
という、なんとも間の抜けた声だった。
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