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□第三章 〜capitale〜 <前>
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「ただいま〜」
「あ、ソラ。」
ちょうど、銀髪のその青年が宿に戻ってきていたらしい。
ふと、その何でも無い様子に悪戯心が芽生えた。
「デートしてたんですか〜?」
「へ?」
「もう、とぼけないでくださいよ!
さっき赤毛の女の子と歩いてたじゃないですか〜。」
それをいったら。
傍目にも、彼が硬直したのがわかった。
「俺、が、居たのか?」
「? ええ、二人仲良く女の子と歩いて……
………もしかして、あれが?」
三年間、ここの常連になってしまうまで探し続けた、彼の弟?
年齢も、ほとんど同じに見えたのだけれど……
それをいえば、彼は走って宿を飛び出した。
「俺と弟は
双子の兄弟なんだよ!」
その一言を、叫んでから。
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