beatmania UDX

□【Bloody Dream】
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「――― どうしたんや?」
「え、あ?」
 はっと顔を上げると、目の前にはユーズ。
 きょろきょろとあたりを見回す俺を、皆がどうしたのか、と心配そうに見てくる。
 ここが識のゲーセンであると知覚し、今までのものが弐寺を待っている間に見た泡沫の夢である、と分かった。
「顔真っ青やないか! 大丈夫なんか?」
「あ、ああ、大丈夫……」
 夢。
 夢。
 夢で、良かった。
 みんなを殺す夢なんて、見たくも無い。
「どうしたの?」
「エリカ……いや……いやな夢、見ちまって……」
 エリカが心配してくれる。
 それだけのことで、なんだかとてもうれしくなった。
 聞かれるままに、その夢の内容を話す。
 まだ動悸が治まらない、けれど。
「そう……」
「エリカ?」
 エリカが、口の両端を吊り上げ、笑う。
 冷たい冷たい笑み。
 と、皆が、こっちを向いて。
「その夢ってさ……」




 どろり。
 顔が、崩れる。
 血が吹き出る。

「こんな、夢?」

 夢の中の皆そのままに。
 血が吹き出る。
 顔が崩れる。
 皆が

 ケタケタ ケタケタ ケタケタ

 笑う。



「うあああああああああああああっ!!」














「どうしたの? ニクス。」
「っ え、え?」
 エリカの声で、はっと我に帰る。
 辺りを見回して、ここが識のゲーセンだったことを思い出した。
 弐寺を待っている間に、少しうたた寝してしまっていたようだった。
「疲れてるの?」
 さっきのは、夢だったんだ。
 そう分かって、俺は安堵の溜息をつく。
 どうしたのかと士朗に聞かれ、問われるままに、その夢の内容を話した。
「ふぅん。」
 口の両端を、士朗は吊り上げ、笑った。
「その夢って」





「こんな夢?」
「ひ……っ」




「うあああああああああああっ!」




















「どうした?」
 士朗の声で、俺は、ハッと我に帰った。
「顔、真っ青じゃないか。疲れているのか?」
「いや、そうじゃなくって……」






 悪夢は終わらない。








end


..
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