beatmania UDX
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2月4日
〜2回目〜
「エリカ〜。」
「あ、士朗。」
ちょうどデラのファイナルステージを終わらせたタイミングで、士朗が後ろから声をかけて来た。
「今日、付き合ってくれないか?」
行きたいところがある、と言われ、エリカは少し悩む。
今日は、セリカと買い物に行く約束があったのだ。
「え? ……ん〜……」
「今日は用事があるから……」
>「ん〜……いいよ。」
「おっけ〜。セリカには行けなくなった、って言えば良いし☆」
「え、それ良いのか?」
士朗が申し訳なさそうに言い、それに対してエリカは笑った。
「うん。セリカ、『何に変えても士朗と遊びなさ〜い!』な〜んてこの前言ってたのよ? ブッキングしたらこっち優先!」
「あ、そうなの……」
心持赤くなっている頬をかきながら、士朗ははにかんだ。
どうやら、士朗はセリカの心意気がうれしかったらしい。
「で、今日はどこに行くの?」
「あ〜、服買いに行きたいんだよ。選んでくれないか?」
「うん! あ、そうだ」
>ちょっとコンビニ寄って良い?
ちょっと郵便局寄っても良い?
皆も呼ばない?
「ちょっとコンビニ寄っても良いかな。ALTでお金おろして来たいから……」
「良いよ、俺も何か買っていこうかな……」
快く承諾してくれたらしい。
寒いから、二人で手を繋ぎながらコンビニに向かう。
と、空からはらはらと雪が降りてきて。
綺麗だね、なんて言いながら二人並んで歩いて。
なのに。
「―――っ エリカ!」
「きゃっ」
キキーッ
ドンッ
赤い、赤い、赤い。
道路が赤く染まり、銀色の髪がその中に揺蕩う。
車からスーツ姿のサラリーマンが慌てて飛び出してきて。
ざわざわと、ギャラリーが集まってきて。
士朗は、自動車に轢かれて、死んだ。