Poem

□桜
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「あ・・・・」




風が、吹いた








それは
踊り狂う妖精のように



花弁を散らす




















『桜の木の下には、人の死体が埋まってるんだって』





誰かが、言った









『アレは不気味だ』




誰かが、言った











蕾が開く

その横で



静かに

花弁を散らしていく





























まるで

生まれた時から
死への旅路を歩み始める




命のよう





























もし

私が
桜の下で朽ち果てたなら





桜は



もっと綺麗に咲くのだろうか


























もし

私が
桜の下で朽ち果てたなら




私は




桜になれるのだろうか
































もし

私が
桜の下で朽ち果てたなら







この想いは













残るのだろうか
























助けてとは言わない






恨みもしない












この

短い人生に






未練だって、有りはしない
























ただ


連れて行って欲しい







何処でも良い




暗くても



独りでも



永久に

彷徨うことになるとしても















“遺せる場所”に

























この想いが消えてしまうことが









一番 怖い
























だから
















この想いの遺せる所に







































連れて行って
















































「あ、桜・・・・・」





















春になると

思い出す

















まるで


桜の花弁のように





静かに逝った


























あの


純白い少女のことを




























END

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