さなにおさな通常版:1  

□求めていたもの
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はだけられたシャツの下を湿っぽい掌がなで回す。時折吐息がかかってくすぐったい。
手を出さずに見ていたら煽るようにシャツを脱ぎ捨てて至近距離に迫ってきた。いつまでも触れてこずに尖らせたままの唇を啄んでやると足りないとばかりに貪られて酸欠になる。

上から見下ろしてくる視線はきついのにどこか甘く、ねだられているようで悪くない。この行為にどんな意味があるのかと迷い戸惑っていた頃があった。こんな、獣のような恥を知らない行為に耽るには若すぎると。

それは言い訳に過ぎなかった。
いざ手を付けてしまったら目を離す事すらできなくなる弱い己を相手に知られるのが恐かったのだ。
獲物を前にした、飢えたケダモノと同じ様な目を向けられた時、喉が鳴った。それから後は疑念を忘れた。
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