さなにおさな通常版:4

□ぴんく
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「最近はぴんくなモンが多いの〜」
「季節だからでしょう」
部室の片隅でダブルスが雑誌を覗き込んでなにやら盛り上がっている。
「あちらに混ざりたいなら構わんぞ」
向かいでノートを整理していた参謀が知った顔で呟く。
それに頭を振って気分を変えようと息を吐く。
「ため息は幸せが逃げるっちゅうじゃろ」
「・・・悪い息を吐き出しただけだ」
「ものはいいようじゃの。ジャッカルなんぞしょっちゅう青い息はいとるぜよ」
遠まわしなイヤミに何か返そうと思うが不器用ゆえかこれといった台詞が思いあたらない。
「なんぞ?オシマイか?」
相手にもならんと鼻にもかけられないのが癪だった。
「そ・・・そのような甘いモノばかり飲んでおっては、さぞや吐く息は甘かろうな」
適当に言い逃れるつもりだったのが、思ったより効果はあったようだ。
「・・・お前さん、言うに事欠いて・・・」
がっくりと首を垂れる仁王の耳がうすい桃色なのは気のせいか?
周りを見ると呆れたような目線がふたつ向けられていて、余計に訳がわからなくなった。

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