年下のカレシ:

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後輩が差し出した袋を見て差し出された方は眉を思いきりしかめた。
「なん?これ」
「先輩に渡すように言われました」
「…いらんて言うとるし。なんで持ってきた?」
「一応、お断りしたのですが…」
老けた面構えの割りに胸元までしか身長のない後輩はそつなく答を並べる。
「どうしてもって言われたら、俺が嫌だちゅうても持って来るってか」
「…」
受け取らないのはわかっていた。預かるつもりもなかった。
目の前で不機嫌そうに眉をしかめている顔を見ていると、無性に手を伸ばしたくなる。
「明日、相手を探して返します。それで構いませんね」
手荷物を引取り、後輩は小さく会釈して部室のドアに向きを変えた。
「どこ行くん」
「教室に置いてきます。ここに置いておくのも忍びないですから」
部活が始まるまでは時間がある。すぐに戻るつもりだった。
「ま…っ」
細い指が浅黒く焼けた腕を掴む。
「…意地の悪い事しんさんな」
耳元で甘く囁き、胸元に引き寄せられる。
誰に…と問う前に頬を軽く抓られ、部室から放り出されたのだった。

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