年下のカレシ:

□002
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下から大きな目がじっ…と自分を見つめている。いつからかそれに優越感を覚えていた。
目許を少し緩め、わざと腰を屈めてやる。自分の優位を認めさせるために。
「…なん?」
「…」
無言で己の口許を指先で示している。
意味がわからずに首を傾げると、強調するように指先でとんとんと同じ場所を突いて見せられた。
「…だから、なん?」
「…ッ!」
まだわからずに眉を寄せると慌てたように目を大きく見開いた顔が近づいた。
予期せぬ行為に息を飲む。ふわりと硬い指先が唇の端を掠めた。
「な…な…ッ」
指先を唇に押し付ける仕種が手慣れている。きりっと胸のどこかが軋んだ。
「おまん…慣れとうの」
言葉に刺を含ませてみたが判る相手ではない。
「祖父の道場には小さい子供たちも来ますから。自分が相手をする事もありますし…」
幼い子供と変わらないと言われたようで面白くない。

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