小説

□光と闇のセレナーデ
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「起きてぇ。朝ですよぉ。起きないと遅刻しちゃうぞー」

またしても聞こえてくる萌えボイス。

実際こんなメイドがいたらメイド業界は破綻するに違いない。英国紳士も真っ青だ。

深夜テレビでメイド喫茶の特集をして、ありもしないメイド像を全国のコスプレ好きさんが創って、もてない男どもが騒いで、さらには雑誌に載っちゃうものだから、日本の文化はこうもおかしくなったに違いない。

世界のニュースで日本は「わび・さび・もえ」なんて間違ったことを伝えている。千利休も真っ青だ。


話がそれてしまった。そうそう声の主は……

あたりを探してみるが人の景色はない。

「起きてぇ。朝ですよぉ。起きないと遅刻しちゃうぞー」

声の発信源は、ころんと寝返りを打った脳内メリーゴーランド少女の枕元から聞こえてきた。

そう、先ほどから聞こえるこの音声は携帯の目覚まし音である。

最近では目覚まし時計より携帯の方が起きられるため中高生の間ではよく使われている。

それはバイブ機能があるからだ。枕の下に携帯を置いておくと効果覿面だ。

なにせ枕自体が振動するのだから。

気を失っていない限りはたいてい起きられる。

突然の振動で時折心臓が止まりそうになるのを除けば、いい目覚まし時計である。
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