エッセイ

□フェティシズム
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今回は「フェチ」についてです。

フェチ(フェティシズム)は異常性欲のひとつである。

異常性欲があるからといって何もやましいことはない。
ただ「普通」と違うだけのこと。

そしてこの「普通」は誰かが定義したものではない。一般的にその母集団の過半数以上の考え方をする人を「普通」と呼んでいるだけに過ぎない。母集団の意味がわからない人がいるかもしれない。確率でいうところの分母にあたるものである。統計をとるときの全員だと考えてくれば問題ないだろう。つまりその世界に10人いたとしよう。7人がAと答え、残り3人がBと答えたとする。この10が母集団で、Aが普通と呼ばれるのである。
例えBが正論であったとしてもその世界ではAが普通と呼ばれるのである。

例えば街で任意に誰か1人を選び、その人をカラオケに誘ったとしよう。設定上、その人はアニメをあまり知らないとする。でも私の友人達がいるカラオケルームではアニメを知っていて当たり前の世界。そんな中、その人がアニメ以外の曲を歌ったら、どうだろうか。
アニメを歌うのが「普通」の世界に、違う事象が紛れこんできた。この「違う事象」は紛れも無く、この世界では異常者なのである。
これが逆の立場だと、つまり、アニメを知らない人たちの中でアニメを歌ったら偏見の目で見られるのは間違いないだろう。つまりアニメ以外の曲がその世界では「普通」の曲として存在しているのだから。

これは極めて特殊な例ですが、普通の人が場所や思想によって異常者に変わることもあるのである。

もう1つ面白い話をしよう。私の知り合いで「天然」の方がいる。仮にその方をkさんとしよう。
kさんはいつも自分は「普通です」と言っている。Kさんの周りで世間で「天然」と呼ばれる人があふれていたらどうだろうか。
Kさんはいつも「普通」なのだ。それは疑う余地はない。だが、私たちといるときは「普通」ではなく、「天然」のレッテルを貼られる。だってここは「天然」が珍しい世界なのだから。
さて話がそれたみたいだ。私が言いたかったのは異常性欲といっても、そんなに気にすることはないということである。

フェチの話をしようか。

私はたくさんのフェチを持っている。ここで言うと「え〜」と非難の声があがると思うので割愛したいのだが、そうすると「え〜」と言われるような気がする。(これをやまあらしジレンマという)
せっかくだから言うことにしようか。

代表的なのは足、あとは手の指。この辺りはわかるだろう。結構やばいのが、あごから耳にかけての骨のライン。たまにこの曲線がとても美しい人がいる。前に付き合っていた人がそうだったのだが、一緒に寝ていたときに触っていると「何をしているの?」と言われた。答えてあげたが「ふ〜ん」と返された。興味がなかったらしい。

絶対領域もフェチに入るのだろうか。入るな。うん。入る。
あとは、唇に背中に腰骨とか、あげるときりがない。
他には服装もそうだ。男の人ならわかると思うが、女の人のブラウスには何かしら感じるのではないだろうか。チェックのプリーツスカートとかもわかるだろう。

私はなぜかロングスカートに弱い。理由はわからない。だからこそフェチに入るのだが。

私は違うのだが、「鎖骨」や「うなじ」が好きという人もいるだろう。

最近、声フェチという言葉を聞くようになった。今では声という抽象的なものにもフェチという言葉が適用されているらしい。
そもそもフェチとは、ある「パーツ」に対して異常に反応するものだったのだが、目に見えないものに対しても適用可ということになる。
最近私はあるものに対してかなりの性欲をかきたてられるということが判明した。性欲というと卑猥な表現だが、仕方ない。
それは「気絶」である。
目の前でたまたま「気絶した人」を見た。そのとき、私の中で眠っていた何かが目覚めたのかもしれない。あのがくっとくる瞬間、体中に電流が走った。
多分私は「気絶」フェチなのだろう。

異常と思った方いるだろう。
自分の隠れていた欲求、いや、この場合潜んでいたという言葉が適しているのかもしれない。こういう欲求が自分の中にあったことに大変驚いている。驚く一方で怖さも感じた。
もしかしたら、まだ私の奥底で私の知らない欲求がたくさん潜んでいるのかもしれない。

ここまで読んで、異常だと思った方いるだろう。

でもよく考えてほしい。そもそも「異常」と「正常」の境界線なんて存在しないことを。

つまり誰もが異常者にもなり、正常者にもなりうるのだ。
そして異常者と呼ばれるのはその欲望に対して理性を保てない人なのである。

どんなに正常者が異常者と同じフェチを持っていたとしても、理性を保てた者は正常、保てなかった者は異常というレッテルが貼られる。


ここはそういう世界なのである。

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