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□bitter
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最終試験直前。
会場のホテル内で少しだけ休みがもらえた。
ロビーにある一人掛けのソファに腰掛けて、物思いに耽りながらコーヒーを飲んだ
ゆらゆらと湯気が立ち上っていて
コーヒーカップの中の黒い水面には自分の顔が歪んで映る
「名無しさん、そろそろ始まるみたいだよ◆」
いつまでも動かない私を見兼ねたのか、ヒソカが促す。
「わかった」
私はコーヒーを一口飲み込んだ。
やっぱり、苦い
bitter
一対一のトーナメント方式。
それがネテロが提示した最終試験だった
トーナメントとはいっても一風変わっていて、勝ったものが抜けていき、負けたものが上に登っていく。
不合格は一人ということらしい
相手を死にいたらしめたら失格、「まいった」と言わせなければならない
なんというか。
「最後まで面倒なやり方だね」
私の呟きにヒソカは不適な笑みを浮かべる。
ハンゾーとゴンの試合が終わり、次はヒソカとクラピカの試合だった
ヒソカは楽しそうに加減しつつ戦っていたが、途中でクラピカに耳元で何か囁いて負けを宣言した。
戻ってきたヒソカは満足気な顔をして私の隣に座り込む
「…気になるかい?」
「気になる」
「でも、教えない◆」
「……」
そう言うと思った。
大体想像はつくけど。
クラピカは、いつか真実を知ったとき私を殺すのだろうか。
そのとき私は抵抗するのだろうか?
そんなことをぼんやりと考えていると、名前を呼ばれた
どうやら順番が回ってきたらしい。
作戦も何も考えていなかったが大丈夫かと、今さら心配していると対戦相手の名前呼ばれた。
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