紅と黒の旋律
□†淡い絆†
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精一杯懸命に輝く金色の月の下であたしは願う。
―死なないで、と。
―叶うは儚く―
強くなりたい。
それがあたしの願い事。
あたしの周りには無数の屍がよこたわっている。全てあたしが殺った。
自分の体を血で赤く染まるまで…
でも、まだ足りない。あたしはこの戦いに於いて恐れられて、英雄に数えられている。
だけど、こんなもんじゃあまだ大切な物なんて護れない。
この攘夷戦争で大切な物を見つけた。
あたしの護りたい物だ。それはあたしなんかが護らなくてもすごく強い…
でも、失いたくない。
この戦場下で何が起きるか分からないから。
失う苦しみはもう沢山だ。
あたしの隊は自分を残して全滅だった。
仲間を殺した残りの天人はあたしが全て殺した。
事実上周りに誰一人居ない状態だった。
「早く…皆の所に戻らないと」
あたしが屍を乗り越えて帰ろうとした時だった。
‘ポツッ,
曇天の空から雨が降ってきた。
「ツッ」
抑えていた感情が一気に外に出て、大量の雫があたしの頬をつたう。
「空も泣いてるの?」
激しい雨があたしに付いた返り血を洗い流す。
なんでこんな想いをしなくちゃいけないの?
神様は意地悪だ。何にもしてくれないんだもの。
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