ダイヤ小説

□七夕
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「沢村知ってるか?今日七夕なんだぞ」

そうにこやかに言う先輩。
だが俺はテレビ見たかったのにそれだけの用事で見逃した…。


「で、何ですか。外に呼び出しといて…。それだけなら戻るっすよ」

「まぁまて、ロマンチックじゃねーか。彦星と織姫が一年に一回会える日なんだぜ?」

「知ってますよ」

「なら話は早い。沢村夜10時まで俺の側に居ろ」

「はぁ?」

「あ、拒否権はねーからな」

「………分かりましたよ」


ったく何で俺が…とか言いながら少し離れて座ると肩を抱かれ御幸の吐息が近いほどに距離を縮める。


「み、みゆ…き!!」

「ん?」

「近い……っ」


自分でも分かる程赤面しながら言うと御幸が笑いだした。


「なにがおかしいんだよ!」

「いや?まだ慣れないのかって…ね」

「うるせぇっ!!」

「あ、雲が晴れたぞ。ほら天の川」

夜に煌めくのは無数の星と川のように流れる星の集まり。


「う…わぁ…。ここでも綺麗に見えるんだなぁ」

「意外だった?」

「うん…。でもこれ見たら地元思い出すな…」

「地元?」

「よく天の川見に丘に登って見てたんだよ…。今年はアイツラとは見れなかったな……」


丘に寝転がり顕微鏡で星を見ていたのを思いだし、懐かしく思い少し涙が出る。

「…俺じゃ駄目か?」

「?」

「今年は俺じゃ駄目か?」


それは慰めの言葉なのだろうか―


「ううん。充分だよ…」

「そうか……」


御幸の広い肩にうずくまると少しほっとしたような顔をする。


「沢村…もし俺が卒業しても七夕は休みもらって必ず会いに来る」

「…楽しみに待ってる―」


(織姫と彦星はこんな気持ちなのかな―。ずっとこうしていたいって…)



――――――――――――
2日遅れ七夕小説でございます。

あまり甘くないしかなりシリアスだ……!!(撃沈)

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