ダイヤ小説
□君だけに
1ページ/4ページ
チュンチュン…
小鳥の囀りが朝の日差しと共に聞こえる。
「ん…」
まだ明るさに慣れてない目を少しずつ開ける。
すると横には昨日アメリカから1日休みで帰ってきた俺の…こ、恋人の一也がいた…
久しぶりに(二ヶ月位?)会ってなかったからなのかまた一段と身長がのびてさっきから繋がっている手がゴツゴツしていた。
整った顔立ちでますます男らしくなっていた。
「なんで俺を好きになったのかな…」
一也は女性にモテる。高校の時だってバレンタインの時校内1モテていた。
現に今でも同じ大学の春っちや俺にアメリカから帰ってきた時に一也あてのどっさりとファンレターという名のラブレターが来る。
帰ってきては渡して一也は一通一通読み、返事を書いている。
「一也…」
「なぁに人の顔見てんの?見惚れたかぁ?」
寝ていたはずのアイツがぱっちりと目が開いていた。
「か、一也!?い、いつから…!」
「栄純が起きる前に」
「マジかよ…ほら朝飯作っから後で降りてこいよ!!」
真っ赤な顔を隠すため一也の方は見らず階段を降りていった。
朝飯は健康を考えてサラダに白ご飯、味噌汁efc
「お、いーにおい♪」
「ほら出来たぞ。あとコレ」
昨日頼まれた手紙の数々。
「ん、サンキュ」
食べながらファンレターを見る一也。
俺は暇だったし野球中継を見ることにした。
今はワールドカップの時期。
MAX160を越えるクローザー降谷とチームの扇の要一也。
この二人が日本にいるかぎり最強バッテリーと言われるほど打撃、守備がよいのだ。
今、降谷が打った所でツーアウト満塁。
次の四番打者はすぐ後ろにいる一也。
ボールは150を越えるストレート。それはタイミングぴったりに力で押し返しホームラン。
こんなにプレッシャーがある場面で強くなるのは一也の凄い所。
一也と降谷はその後も相手選手たちを三振に取り、見事に0対5でコールド勝ち。
その時の一也と降谷の感想は『互いを信じて投げた』その言葉に胸が痛んだ。
一也は皆のものなのに…
「栄純♪」
「なんだよ…」
「なんでテレビに映ってる俺見てんの?」
「違げーよ!降谷見てんだよ!!」
降谷に嫉妬した―とは言えねーし…
「ふーん…」
後ろから抱き着くのをやめテーブルに一回戻り、隣に来た。
「えーじゅん」
「……」
「…栄純、こっち向け」
テノールの声を耳元で呟かれ、肩が跳び跳ねる。