「・・・ありゃ?」 それでさあ、隣を歩いてる俺の彼女にそう言いかけたときだった。よくよく隣を見れば彼女がいない。俺は間抜けな声を洩らした後に「はあ、」と息を吐いて後ろを振り返った。 「わー可愛いーワンちゃん!」 いつもそう、何故か小高い場所を歩きたがったり。今みたいにいつの間にか隣から居なくなってて振り返れば後方で散歩中の犬を触ってたり。 俺の話聞いてる?ってか俺の話って面白くない?一度だけそう聞いたことがあったが、えーそんなことないよ!と彼女は笑った。 そんなことないのに何でしょっちゅう俺の隣から居なくなるんだろう。こちらとしては危なっかしいっていうのもあるし。 彼女の名前を呼んでその手を掴んで引っ張ると、ワンちゃんばいばーい!とニコニコ笑っていた。 「ねえ何で、」 「何が?」 「何でいっつもふらふらーっと俺の隣から居なくなっちゃうの?」 え、今の俺の台詞って超女々しい。でも危なっかしくて見てらんないし俺の隣に居て俺のことちゃんと見て欲しいし。 かっこ悪い俺でそう彼女に尋ねれば彼女はさらににっこり笑って、だってねだってね!と口を開いた。 「赤也に私のこと、見てて欲しくて!」 それに見て見て、手も繋いでくれるんだよ!そう言われて手元を見れば、確かに俺は彼女の手を握ったままだった。 るっくあっとみー! (言われなくても、)(寧ろ君のことしか、見えてない) ―――― 愛紡さまへ提出。ありがとうございました! |