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□ピアスとわたし
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つい先日、幼馴染のあいつが耳にピアスを開けた。なんと両耳合わせて五個も、だ。
それがまた似合いすぎている。もっと不恰好なら笑い話に出来て楽なのに、ピアスをつけた光は格好よくて、大人っぽい。



「・・・光、ピアス似合っとるね」

「ん、おおきに」



帰り道、私は光の横顔を見上げて言った。すると妙に大人っぽい表情をした光は私を見下ろして、薄く笑った。
そう、光はいつも大人っぽい。私とは、とても遠い場所に居るような気がする。頑張っても追いつけない。同い年で、今まで同じことをしてきたはずなのに。



私もピアス開けようかな、なんてお母さんの前で呟いてみたら、いい加減光くん離れしなさいと笑われた。そうか、私は光に依存して、光に甘えていたのか。
急にこの距離が哀しいものに思えてきた。距離はどのくらいあるのかな、と光の方へ手を伸ばしてみると、案外あっさり彼の耳に触れることが出来てしまった。




「、どないしたん」

「・・・何でもない」

「人の耳にいきなり触っといて何でもないはないやろ、・・・自分泣きそうやん」



光は大人っぽい表情で私を心配した。



「・・・開けようかな」

「え?」

「私もピアス開けようかな、って」




私がそう言えば、「ピアス?自分が?」と再び大人っぽく薄く笑った。




「おん、私が」

「痛いんやで?自分絶対ビビってできひん」

「ビビリちゃうし」

「いーや、ビビるわ絶対」



だってお前子供やし、と光は付け足した。大人と子供、なんでこんなに彼方は遠い?




「開ける、絶対開ける」

「・・・ほんまに?」

「私嘘吐かへんもん」

「そうかもしれへんけど・・・、」



一瞬だけやけど、ほんまに痛いんやで?なんでそこまでするん?と呆れたように光は言った。





「光が、」

「・・・俺?」

「光が、どんどん届かないとこに行ってまうから、」

「はあ?意味わからへんわ自分、」




口元を歪ませた後に光は私の頭にポンと手を置いて、安心せえ、俺は隣に居るやろ?そう言って、まあ・・・と続けた。







「まあ、お揃いっちゅーのも悪くないかもしれへんけど?」



そのときの光の笑顔は、あれ?と思ってしまうくらい子供みたいに無邪気だった。
しかしキラリと彼の耳から主張するピアスは不思議と大人っぽい光よりも今の光のほうが似合うと思った。




ピアスとわたし


ほんまにお揃いのピアスつけてくれたん?可愛い奴ー、


――――
ピアスとわたし、さまへ提出。ありがとうございました\^^/




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