贈られた幸せな物語

□腕の中で
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そっと抱きしめる。
いつもやっている訳じゃないが、慣れているこの感覚。
時にはティアをからかって抱きしめる事も有る。
 
「ルー・・・ク?」
 
不意に抱きしめたからか、不思議そうな視線で俺を見つめてくる。
それを見て、もう少しだけ強く抱きしめた。
 
「何なの?」
 
「何でもないよ。
少し、こうやっていたくなったから、かな」
ティアの頬が朱く染まる。
恥ずかしくなったのか、俺の腕から抜け出そうとするが逃さない。
ティアの動きに合わせて俺も腕を動かし、抱きしめ続ける。
それで諦めたのか、身を委ねてきた。
 
「馬鹿・・・」
 
「馬鹿でもいいよ」
 
ティアの髪を一筋掬い、それに軽くキスをする。
一気にティアの頬が朱くなり、俺の胸元に顔をうずめる。
 
「どうした?」 
 
「分かってるくせに・・・」
 
分かってやってる。
それだけティアが愛しいから。
 
「まあ、な」
 
「ホントに馬鹿・・・」
 
馬鹿でも構わない。
ティアを抱きしめる事が出来るなら。
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