贈られた幸せな物語
□腕の中で
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抱きしめられる。
そんなにされた事は無いけれど、暖かくてどことなく幸せな感覚。
それでも恥ずかしい・・・。
「ルー・・・ク?」
今回は急に抱きしめられ、驚いて彼の名前を呼ぶ。
それから強く抱きしめられる。
「何なの?」
「何でもないよ。
少し、こうやっていたくなったから、かな」
そう言われると逃げる事も出来ず、彼に身を委ねる。
不意に髪を掬われ、そこにキスをされる。
どうしようもなく恥ずかしくなり、朱くなった顔を隠す為に、ルークの胸元に顔をうずめた。
「どうした?」
喉の奥で笑いながら聞いてくる。
それに少し腹が立ち、彼を見上げる。
「分かってるくせに・・・」
「まあ、な」
素直になれない、それが私の悪い癖なのは分かってる。
キスされた場所が唇だったら、なんて考えなかった訳じゃない。
それでも
「ホントに馬鹿・・・」
抱きしめられる。
その行為は、決して嫌いじゃない。
彼だから・・・身を委ねる事が出来るのかもしれない。