贈られた幸せな物語

□腕の中で
2ページ/4ページ

抱きしめられる。
そんなにされた事は無いけれど、暖かくてどことなく幸せな感覚。
それでも恥ずかしい・・・。
 
「ルー・・・ク?」
 
今回は急に抱きしめられ、驚いて彼の名前を呼ぶ。
それから強く抱きしめられる。
 
「何なの?」
 
「何でもないよ。
少し、こうやっていたくなったから、かな」
 
そう言われると逃げる事も出来ず、彼に身を委ねる。
不意に髪を掬われ、そこにキスをされる。
どうしようもなく恥ずかしくなり、朱くなった顔を隠す為に、ルークの胸元に顔をうずめた。
 
「どうした?」
 
喉の奥で笑いながら聞いてくる。
それに少し腹が立ち、彼を見上げる。
 
「分かってるくせに・・・」
 
「まあ、な」
 
素直になれない、それが私の悪い癖なのは分かってる。
キスされた場所が唇だったら、なんて考えなかった訳じゃない。
それでも
 
「ホントに馬鹿・・・」
 
抱きしめられる。
その行為は、決して嫌いじゃない。
彼だから・・・身を委ねる事が出来るのかもしれない。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ