小さなコート

□恋だったなんて
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幼なじみ、でも別に特別でもなんでもない


ただ親が仲良いだけでお隣さんでもないし、勝手にお互いの部屋に入ったりなんてあり得ない。学校でもあんま話さないし、スキンシップなんて小さい頃ぐらい


男女の幼なじみなんてこんなもんで、特に好きだとか、嫌いだとかもない


そう、頭では考えてたんだけど



「っ…」


放課後の教室、フラッシュバックする映像。頭を鈍器でどつかれたような、心臓を素手で引っ張ったような…そんな痛み



幸せそうにはにかむ彼女、今までに見たこともないような…優しくて穏やかな仁王の笑顔



「あーあ…」

好きだと、気づかなければ幸せだったのかもしれない

でも…この痛みを、目頭が熱くなっているのを、否定することなんてできなかった


ずるい、ずるいよ


「何年間、恋してたんだろう」


今までにもあいつの遊び相手はいっぱい見てきた


でも、どことなく目が、雰囲気が冷たかったから安心してたのかも


その安心感も今日ので崩れ去った



「いつか、綺麗になって見返してやろう」


醜い感情を押し殺すことなんてできないから


うんと綺麗になって、驚かせて、こんな女の子放っておいたお前はバカだって言ってやる


失恋した乙女の底力、なめんなよ



最後に一言



「恋だったなんて」
































恋だったなんて

いまさら気づいても、遅いの






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