長編小説(家族)
□桜の木の下で
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ー…ボンゴレボスの執務室。
「…はぁ…疲れた…」
そう呟いて机に突っ伏すボンゴレボス、沢田綱吉。
そんな綱吉を苦笑しながら見るボスの右腕、獄寺隼人。
「お休みもしないで3日間続けてお仕事していらっしゃいますからね」
「リボーンが悪いんだよ…リボーンが沢山溜めて書類持ってくるからっ!!」
バンッと机の上を思いっきり叩きながら怒鳴る綱吉に再び苦笑するしかない隼人。
「リボーンさんは早く済ませて後は楽するっていう考え方ですからね…リボーンさん、ああ見えて10代目の事を大切に思ってるんですよ?それも知っていて下さいね」
「…絶対そんな事ない…今でもダメツナって言うし。はぁっ、もう!!やってやれないっ少し休憩!!隼人、紅茶入れてくれる?」
仕事机からソファに移動しながら言う綱吉に隼人は返事をしながら紅茶を入れに奥へと引っ込んだ。
溜め息をつきながらソファに座ったと同時に執務室の扉が勢いよく開く。
「「「「ママ(お母さん)!!!!」」」」
「うわっ!!びっくりした〜!!扉を開く前にちゃんとノックしようね、弥綱、恭綱、金糸雀、朱雀」
「…ごめんなさい…」
「怒ってる訳じゃないよ。注意しただけだから…次から気を付けようね。それで皆してどうしたの?」
泣きそうな顔で謝る子供達に綱吉は苦笑した後、優しい笑顔で言う。
「「えっと…うんとね…」」
「「………」」
恭綱と金糸雀は言葉を濁させて互いの顔を気まずそうに見合い、弥綱と朱雀は気まずそうに黙って綱吉を見ていた。
「…?………あぁ、そういうこと」
綱吉はそう言いながらソファから立ち上がり、その場にしゃがんだ。
そして、両手を広げて暖かく優しい微笑みを浮かべて…
「ー…おいで。弥綱、恭綱、金糸雀、朱雀」
「…お母さん、いいの?」
弥綱がそう問い掛けると、綱吉は微笑みを崩さずに言った。
「最近忙しくて構ってあげられなかったからね…寂しかったでしょ?ごめんね…遠慮しなくていいんだよ?子供は甘えなきゃ。ほら、おいで?」
恭綱と金糸雀は泣きそうな顔をして…しかも、余り表情を見せない弥綱と朱雀も泣きそうな顔をしていながら綱吉に走って行って、勢いよく抱き着いた子供達。