短編&中編小説
□どうか…この願い、天空へと…
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今朝、突然我等がボンゴレボス&アイドル(笑)である沢田綱吉の言葉で始まった。
『せっかくの良い天気だから皆でお花見しようよ!!』
ー…そんな訳で、ボンゴレボスと守護者とリボーンとウ゛ァリアーとディーノとコロネロ…つまり綱吉大好きメンバー全員がアジトの敷地内にある大きな桜の木の下に座っていた。
「空は快晴だし、桜は満開、心地良い風に舞った桜の花びらが綺麗で…綺麗だし、気持ちいいね!!」
酒の入ったコップを片手に、満面の笑顔で言った綱吉。
そんな綱吉の笑顔を見て、周りにいた者達は赤くなり綱吉に見られないように顔を逸らしていた。
「「「「「…(ボソッ)君(お前)(貴方)の方が可愛い!!!!」」」」」
「ん?何か言った?」
皆が言っていた言葉が聞き取れなかった綱吉が問い掛けるが、いつもの表情に戻した恭弥が答える。
「何も言ってないよ、綱吉。それよりも久々の休みなんだからゆっくり休みなよ」
「はいっ!!恭弥も休んでね、皆もだよっ!!…あ、そう言えば知ってる?」
再び綱吉の笑顔にやられていた皆だったが、綱吉がいきなり立ち上がりながら問い掛けてきたから、皆が不思議そうな顔で綱吉を見る。
「誰からか聞いたんだけどね…落ちて来る桜の花びらを空中で取ると、願い事が叶うんだって!!」
彼らに背中を向け、背中まで伸びた髪を風に遊ばせながら切なそうに言う綱吉。
綱吉は片手を空に向かって伸ばし、手の平を上にする。
すると、それを待ち望んでいたかのように1枚の桜の花びらが綱吉の手の平にふわりと舞い降りてきた。
桜の花びらを優しく手で包むように掴むと、壊れ物のようにそっと胸まで持って来る。
「…皆がこの先ずっと幸せに過ごせますように…誰も居なくならないで、ずっと笑って…」
囁く様な弱々しく願う綱吉の声は、風に乗って皆の耳に届く。
俺(僕)達の心優しいボンゴレボス、沢田綱吉。
今目の前に広がる青い大空の様に俺(僕)達を優しく包容する彼が自分よりも、大切なファミリーや仲間の事をそう願うなら…俺(僕)達は貴方の事を願おう。
“いつまでも、これから先ずっと…太陽の様な、向日葵の様な貴方の笑顔が消えませんように…貴方が幸せで中学の時からの姿が消えませんように…”
皆の、背中に隠した、固く握られた片手の手の中には…淡いピンク色の桜の花びらがあった。
『皆、大好きだよ。ダメダメな俺だけど…ずっと側にいてね』
『貴方(君)(お前)を愛しています…ずっと側に居てください(くれ)(よ)』
…心の中でそう呟いた…
END
→あとがき