旧和

□ぬばたまの…
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ぬばたまの
黒髪ふりて
白雪と
櫛とくひとの
逢瀬絶ゆるに


(この美しかった黒髪は古くなり、降り積もるあの雪と同じように白い。
櫛で優しく梳いてくれていたあなたとの逢瀬はなくなったので。)


*ようやく本格的な冬の短歌が詠めました。
歌の構図としてはありがちなパターン。
歳を重ねた女性のイメージでもあります。


髪は女の命。
平安の世も今世もそれは同じですよね。
髪の美しい女性は男女共に憧れるはずです。

艶やかな漆黒の髪。
指通りよくしなやか。
恋をしている自分の生気が込められているような、輝く髪。
大事に大事に、好きな人に触ってもらえるように。

「綺麗」を努めます。



そんな髪を逢うたびに優しく櫛で梳かしてもらって、撫でてくれていたのに。
逢えない時間が、少しづつ長くなって。
今はもう逢瀬は絶えてしまって。

あの幸せだったころが、まるで嘘だったように。
虚しく思い出されて、
雪を眺む、私。


冬の歌ってつい寂しいものを詠んでしまいますね。

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