旧和

□秋つくる…
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秋つくる ひたしめらせし 霧雨に
まぎれて泣けぬ わが身ありけり



(秋がつくりだす、ひたすらに湿らせる霧雨には、まぎれて泣けないわが身なのです)




*さて、今月最後の更新です。
とりあえず1カ月で2回は更新できているのでまぁよしとして下さい…笑

今回は霧雨の短歌です。
近頃の秋雨を浴びて即興で詠みました。

霧雨は、うっすらと降る雨ですね。
前にも言いましたが、霞は春、霧は秋に用いる言葉です。(古語では)

普通の雨が体に当たった時の表現は「濡れる、濡らす」ですが、霧雨はそれよりも「湿る、湿らす」という言葉が適切かなと思い、「ひたしめらせし」にしました。
しっとりとまとわりつく、冷えた空気と水。
そして下の句に続きます。

「いっそのこと、たくさんの雨粒が注がれればいいのに」
といった感情を含ませ、「まぎれて泣けぬ」
湿らす程度の雨じゃ、隠せないですからね、涙は。
本当は泣きたいけど、泣けない。
雨なんかで隠さなくたって泣いてもいいのに、泣けない。
強がっている私。
そんな感じの短歌ですが、皆様はどう感じますか?


もうひとつ、出だしの「秋つくる」は、訳では「秋が作り出す霧雨」といった風にしていますが、訳の秋の後の助詞は「が」でなく「を」でもいいなぁと思っています。
「秋をつくる、霧雨」という意味も個人的に好きです。
どちらの意味にもとれるように出だしは「秋つくる」にしました。
秋がつくりだす霧雨も、秋を構成する霧雨も、どちらも趣深い意味ではないでしょうか?



今回の小径のお写真も菅原様からです。
いつもぴったりのお写真が見つかり、本当に自分の短歌とお写真を組み合わせる作業が楽しいです!
ありがとうございます。


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