+ gintoki × hijikata +
□「おねだり」
1ページ/2ページ
*4000HITフリー小説*
(フリー期間は終了いたしました。)
***
「おねだり」
よっこらせ、っと。
ここは屯所の土方の自室。
銀時は完全に酔いつぶれている土方を布団の上に寝かせた。
一緒に居酒屋に行ったはいいが、土方が歩けないほど酔ってしまったため、銀時が屯所までおぶって運んできたのだ。
十四郎がこんなに酔うことなんて珍しい。
呑みに行っても、記憶もあるし、ちゃんと歩いて帰るし、意識もしっかりしてる。
まぁ、頭に血が上りやすくなることはあっても、歩けないほど酔うことなど今までなかった。
銀時は土方の枕元に座ると、土方の前髪をサラリと掻きあげた。
くすぐったそうに少し身じろぐ土方。
そこにはいつもの眉間にしわ寄せた鋭い表情はなく、あどけない寝顔でスヤスヤと眠る姿があった。
可愛すぎるよなぁ。
安心しきった猫みたい、なんて考えて思わず口元が緩んでしまう。
おでこに軽くキスをしてその場を離れようとした銀時だったが、着物の袖を引っ張られバランスを崩す。
見てみると土方ががっしり銀時の袖を掴んでいた。
腕を持ち上げても離れる様子はない。
やれやれ、困った恋人だな。
銀時はクスッと笑みをこぼし固く握られた手を開こうとした。
だが、土方がそれに気づき目を覚ましてしまった。
「? ぎん?」
土方は寝ボケているようで、舌ったらずな口調で銀時の名前を呼んだ。
「ごめん。起しちゃった?まだ寝ててもいいよ。」
すると土方はブンブンと首を振り、布団から起き上がった。
目をこすって、眠そうな目でこちらを見る。
「寝ない。銀と話する。」
「んーでも疲れたでしょ?今日、かなり呑んでたみたいだし。」
「…いい、寝ない。」
頑なに断る土方に折れて、「わかったよ」と返事をすれば、嬉しそうに笑って胸元に抱きついてきた。
…なんか今日の十四郎、積極的じゃね?まぁ、嬉しいけど。
頭を優しく撫でてやると、顔をあげて気持ち良さそうに目を細める。
それがあんまりにも可愛くて、おでこにキスを落とすと、今度は首にギュッと抱きついた。
…どうしよ。今日の十四郎いつもに増して甘えん坊…ドキドキしちまってるし、俺。
銀時は土方を抱きしめながら、首元に唇をあてがった。
土方はビクッと肩を揺らし、耳元で銀時の名前を小さく呼んだ。
「…銀。」
「ん?なぁに?」
「…キス、して?」
…え。
…?! ちょっ、今なんと?!
普段自分から求めない土方の意外な言葉に銀時が固まっていると、土方が顔を覗き込んできた。
お酒のせいだろうか、顔を赤らめこちらをじっと見つめる瞳は潤んでいて…
そこにトドメの一言。
「俺、銀とキスがしたい…銀は嫌?」
…この子、小悪魔?そんな質問の仕方、ずるい。
「嫌なわけないでしょーが。せっかく十四郎から誘ってくれたんだから、たくさん気持ち良くしてあげる。」
「覚悟してね?」なんて耳元で囁いてみれば、土方は顔をさらに真っ赤にして口を噤む。
その唇をペロリと舐めると、それに応えるように土方が唇を開いた。
何度も交わされる口付けに頭が真っ白になる。
静かな部屋に二人の荒い息使いが響き、耳すらも刺激されてしまう。
唇を離すと、土方はトロンとした目でくたっと寄りかかってきた。
「十四郎。大丈夫?」
「……。」
…ん?…あ、れ?
反応の返ってこない土方の顔を覗きこめば…
スースーと寝息をたて、眠っていた。
えェェ?!このタイミングで寝ちゃったのォォ?!何、このお決まりのオチはっ!!
…て、ちょっと待って。反応しちゃった俺の息子、どうすんのよ?これ。
…自分から誘っておきながら。
人の気も知らないで、可愛い寝顔で寝やがってコノヤロー。
銀時は土方の寝顔を見ながら、ため息をついた。
→