+ gintoki × hijikata +

□「おねだり」
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*4000HITフリー小説*

(フリー期間は終了いたしました。)


***


「おねだり」





よっこらせ、っと。


ここは屯所の土方の自室。
銀時は完全に酔いつぶれている土方を布団の上に寝かせた。

一緒に居酒屋に行ったはいいが、土方が歩けないほど酔ってしまったため、銀時が屯所までおぶって運んできたのだ。

十四郎がこんなに酔うことなんて珍しい。
呑みに行っても、記憶もあるし、ちゃんと歩いて帰るし、意識もしっかりしてる。
まぁ、頭に血が上りやすくなることはあっても、歩けないほど酔うことなど今までなかった。

銀時は土方の枕元に座ると、土方の前髪をサラリと掻きあげた。
くすぐったそうに少し身じろぐ土方。
そこにはいつもの眉間にしわ寄せた鋭い表情はなく、あどけない寝顔でスヤスヤと眠る姿があった。


可愛すぎるよなぁ。


安心しきった猫みたい、なんて考えて思わず口元が緩んでしまう。
おでこに軽くキスをしてその場を離れようとした銀時だったが、着物の袖を引っ張られバランスを崩す。

見てみると土方ががっしり銀時の袖を掴んでいた。
腕を持ち上げても離れる様子はない。


やれやれ、困った恋人だな。


銀時はクスッと笑みをこぼし固く握られた手を開こうとした。
だが、土方がそれに気づき目を覚ましてしまった。


「? ぎん?」


土方は寝ボケているようで、舌ったらずな口調で銀時の名前を呼んだ。


「ごめん。起しちゃった?まだ寝ててもいいよ。」


すると土方はブンブンと首を振り、布団から起き上がった。
目をこすって、眠そうな目でこちらを見る。


「寝ない。銀と話する。」

「んーでも疲れたでしょ?今日、かなり呑んでたみたいだし。」

「…いい、寝ない。」


頑なに断る土方に折れて、「わかったよ」と返事をすれば、嬉しそうに笑って胸元に抱きついてきた。


…なんか今日の十四郎、積極的じゃね?まぁ、嬉しいけど。


頭を優しく撫でてやると、顔をあげて気持ち良さそうに目を細める。
それがあんまりにも可愛くて、おでこにキスを落とすと、今度は首にギュッと抱きついた。


…どうしよ。今日の十四郎いつもに増して甘えん坊…ドキドキしちまってるし、俺。


銀時は土方を抱きしめながら、首元に唇をあてがった。
土方はビクッと肩を揺らし、耳元で銀時の名前を小さく呼んだ。


「…銀。」

「ん?なぁに?」

「…キス、して?」


…え。

…?! ちょっ、今なんと?!


普段自分から求めない土方の意外な言葉に銀時が固まっていると、土方が顔を覗き込んできた。
お酒のせいだろうか、顔を赤らめこちらをじっと見つめる瞳は潤んでいて…

そこにトドメの一言。


「俺、銀とキスがしたい…銀は嫌?」


…この子、小悪魔?そんな質問の仕方、ずるい。


「嫌なわけないでしょーが。せっかく十四郎から誘ってくれたんだから、たくさん気持ち良くしてあげる。」


「覚悟してね?」なんて耳元で囁いてみれば、土方は顔をさらに真っ赤にして口を噤む。
その唇をペロリと舐めると、それに応えるように土方が唇を開いた。


何度も交わされる口付けに頭が真っ白になる。
静かな部屋に二人の荒い息使いが響き、耳すらも刺激されてしまう。

唇を離すと、土方はトロンとした目でくたっと寄りかかってきた。


「十四郎。大丈夫?」

「……。」


…ん?…あ、れ?


反応の返ってこない土方の顔を覗きこめば…



スースーと寝息をたて、眠っていた。



えェェ?!このタイミングで寝ちゃったのォォ?!何、このお決まりのオチはっ!!

…て、ちょっと待って。反応しちゃった俺の息子、どうすんのよ?これ。

…自分から誘っておきながら。
人の気も知らないで、可愛い寝顔で寝やがってコノヤロー。


銀時は土方の寝顔を見ながら、ため息をついた。






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