+ gintoki × hijikata +

□「恋しいよ?」
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「恋しいよ?」





うーん。これは…どうゆう状況?


先ほどまで読んでいたジャンプはソファーの下に落ち、膝の上には大の大人が俺を跨いで抱きついている。


「えーっと。十四郎…?」


銀時は意図が読めず、恐る恐る土方の名前を呼んでみた。

いきなり万事屋に来たと思ったら、ろくに言葉を交わさずに抱きついてきた土方。
仕事場から直に万事屋まで来たのか、乱れ気味のスカーフと首元に当たる少し湿った髪の毛が走って来たのだと教えてくれる。

銀時は俯いたまま返事をしない土方に優しく問いかけた。


「どうしたの?何かあった?」


しかし土方は首を横に振るだけで答えようとしない。
不安になった銀時が土方の髪の毛に指を絡めると、それに反応してビクリと肩が揺れた。
それでも顔を上げず、ギュッと銀時にしがみつくだけ。
銀時はどうしていいかわからず、土方の背中をゆっくり撫でてみる。

こうしてやれば少しは落ち着くかな…?



「……総悟が」


やっと声を出して話し始めた土方の言葉からは銀時の名前ではなく、副長の座を狙うドS王子の名前。
それにムッとして無意識に眉間にしわが寄ってしまう。


「銀に飽きられたって言うから…」


は、い? 何の話だ?
自分がそんなことを言った記憶は一切無い。ましてや十四郎に飽きるだなんて、ありえない。
銀時は訳がわからず、土方の肩を掴んで顔を覗き込んだ。

するとそこには、漆黒の瞳を涙で潤ませている土方がいた。
不安と情欲でドキンッと心臓が音をたてる。
土方は潤んだ瞳を手の甲で拭うと、肩を震わせながら声をもらした。


「…2週間も連絡、来ない、のはっ…飽きられ、たから…だってっ」

「沖田君にそう言われたの?」

「だって、携帯っ…お前からの、着信…ない、からっ…うぅ」


あぁ、そういうことか。
付き合い始めてからほぼ毎日と言っていいほど電話をしていたのに、ここ2週間、それをしていない。
それを気にしていた土方はまんまと沖田にからかわれたらしい。

正確にはしなかったのではなく“できなかった”のだ。


「そっか、ごめんな。いやさ、家の電話が壊れちまっててよー」

「……」


土方は予想外の返答にキョトンとしてる。
驚きのあまり、さっきまでポロポロ流していた涙はピタッと止んでいた。
そしてその事実を理解するや否や、顔を真っ赤にしてうろたえ始めた。


「…そ、んな理由…で、電話が使えなきゃ公衆電話とか…あるだろ!」

「うん。でもこの2週間、潜入捜査だったんでしょ?」


2週間前に会って聞いた話を思い出しながら、銀時は少し困ったような表情をした。


「十四郎の仕事の邪魔したくなかったから。」


そう言って銀時は土方の体をギュッと抱きしめた。


「俺のせいで十四郎が危ない目に遭うなんて嫌だったんだよ。」


もし自分が電話をしたせいで、潜入捜査がバレて十四郎が危険な目にあったりしたら…
そんなことを考えると怖くて、一度手にした公衆電話の受話器を置いたのだ。
十四郎の腕は確かだし、ヘマをするような奴じゃないのはわかってる。
…でも、少しでも危険なリスクは減らしてやりたい。自分が我慢をすればいいだけのこと…

そう思ったんだけど…


「逆に不安にさせちまったみてぇだな。…ごめん。」


銀時は汗ばんだ土方の前髪を優しく掻き上げるとそっとキスを落とした。






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