+ gintoki × hijikata +

□「Silver ring」
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「…その………ありがと、な」


小さく絞り出すように紡ぎだした言葉に、どういたしまして、と優しく返事を返され胸に安心感が広がった。
真っすぐに気持ちを受取ってくれる銀時の温かさに心が満たされる。

ギュッ、と手の中で指輪の形を確かめるように握り締めると…
不意にある疑問が浮かんだ。


…そう言えば、なんで俺は首にかける仕様なんだろう…?
俺も指にはめた方が良いんじゃ―…


思わず指輪を握って黙りこくってしまった土方に気づいた銀時が、クスッと笑みを零した。


「お前はそれでいいの。指にしてたらお前んとこのドS王子とかにいろいろ言われんだろ?」


考えていることを見透かされ一瞬驚くも、やはりどこかふっきれなくて…言葉に詰まる。


「…そりゃーまぁ、そうだが―…」

「いいんだって。お前の心臓に一番近い場所にさ、俺の名前があるのって…なんか嬉しいし?」


その言葉にまた心音は早まって、おでこに落とされたキスがくすぐったくなる。


「いつでも十四郎の一番近くにいれるみたいで、さ」


あぁ、ほらまた…
こいつの言葉は俺をおかしくする。
嬉しくて嬉しくて…それだけで誕生日という日をこんなにも有難く思えるなんて思いもしなかった。
さっきまでの疲れはどこへいってまったのかと疑ってしまうぐらい、今の俺は喜びで満ちていた。


そしてやっぱりそれは隠しきれなくて…
耳まで真っ赤になった顔を銀時の両手が優しく包み込んだ。


「十四郎…」


名前を呼んでくれる声が愛おしくて、もっと呼んで欲しくなる…


「…可愛い」


野郎に可愛いだなんて、言うこいつは変だ。
でも、それに喜んでしまっている自分はきっともっと変なんだ…

だって、こんな…全身が震える喜びなんて感じたことがない。




ちゅっ



触れるだけの口づけでさえも甘い刺激となって熱くなる…


優しく

甘い

恋の味…


唇が離れたことになごり惜しくなりながら、それを自覚して咄嗟に銀時の首にしがみついた。
いつも以上に真っ赤な顔と余裕のない自分をこれ以上見られたくなくて…
なんだか自分ばかり翻弄されて…悔しい。

仕返し、とばかりに土方は銀時の耳元で小さく囁いた。



『      』



その言葉に銀時は驚くほど顔を真っ赤にして笑うと、さらにギューッと俺の体をきつく抱き寄せた。
それだけで自分の言葉に銀時が喜んでくれたとわかり、思わず嬉しくなる。


「あー…今の不意打ちはヤバいって。特に下半し…」



ゴッ!!



喜びに浸っていた土方に、銀時の言葉は少々過激過ぎた。
まだそこまでのことを考える余裕なんてない土方は恥ずかしさのあまり、銀時の腹に拳を食らわせていた。


「ちょ、すっごく痛いんだけど…」

「…し、知るかァァ!!もう寝る!」


謝るどころではなくなった土方は、布団を頭からかぶると「落ち着け落ち着け」と自分に言い聞かせ縮こまった。


結局、最初から最後まで銀時の言葉に翻弄されっぱなし…
それでも、やっぱり銀時が好きなのだと再度実感しながら、首にぶら下がった指輪をそっと握った。


「十四郎…?」


俺の布団の横にコロンと寝転がった銀時が、まだ怒ってる?と問いかけてくるかのように視線を投げかけてくる。
なんだか可愛い…

スッと布団から左手を差し出せば、嬉しそうに握り返してくれる温かな左手。

銀時のその手の薬指には自分の名前が入った指輪…
そして、俺の右手には銀時の名前が入った指輪…
それだけで、いつもよりずっと相手を近くに感じるなんて不思議だ。


「十四郎…大好き」


俺も、と言う意味を込めて繋いだ手を強く握りしめると、それに応えるように握り返される温もり…


今日は最高の誕生日だ。


そして今日から、この指輪が銀時の存在をより近くに感じさせてくれる…そう思うとなんだか嬉しくなった。





end

(2010/10/17 加筆修正)

***

土方さんのために一生懸命になる銀さんとか大好きです♪
そしてそのサプライズに乙女な反応してくれる土方さんが希望^^^^←
そんな感じの土誕小説でしたw

***
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