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□「寂しがり屋の君に」
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*土方誕生日フリー小説*

(フリー期間は終了しました)

***





「寂しがり屋の君に」





んー…暑い…


土方は暑さによる寝苦しさでぼんやり目を覚ました。
おぼろげな意識の中、暑さから逃れるように布団をずらし寝返りをうつと、また眠りにつこうとする。
しかし一度覚めてしまった目は、瞼を閉じてもすんなり眠りに落ちてはくれなかった。
さらにこの暑さ。
カラカラに乾いた喉が少し痛い。


仕方ねぇ、水でも飲んで寝直すか…


そう思い身体を起こそうとした。




が、動けない。




徐々にはっきりする意識で、その原因が腰に巻き付いた人の腕だと理解するのにそう時間はかからなかった。


「……ん、」


土方の動きに反応して、背中からくぐもった声が漏れ聞こえた。


…この声は―…


土方は身体を少しねじり、後ろに居る人物を確認する。

やっぱり、銀時だ。
…って、なんで銀が俺の布団の中にいんだよ…?


ごく当たり前の疑問が頭に浮かんだあと、今日の出来事をうっすらと思い出した。


そういやー…今日は俺の誕生日パーティーしてたんだっけ…



***



近藤さんを中心に真選組の奴らが二日前から準備してくれていたらしく、朝っぱらから叩き起こされ、屯所の一室を会場に盛大な誕生日パーティーが始まった。
まるで子供の誕生日でも祝うかのような装飾。
ケーキと一緒に添えられたマヨネーズ。
くだらないプレゼントの数々。


誕生日パーティーだなんて自分の性には合わねぇが…
…またにはこんな風に祝われるのも悪くねぇな。


なんて喜びに浸っていると、突如聞こえて来た予想外の人物の声に握っていたホークがカシャンと手から滑り落ちた。


「あれー?なんか楽しそうなことやってますねーってか、美味しそうなもの食べてますねー…俺にもケーキくれよゴリさん。」

「こんな量じゃ足りないネ。あと三つはホールケーキが必要アル。」

「いや、神楽ちゃん…主役差し置いてどんだけ食べる気なの?ちょっとは抑えようよ。」


な、なんでこいつらがここにいんだよ…


いきなり登場したかと思えば、当たり前のように席に座った万事屋メンバー。
土方は顔をひきつらせると、ダンッ!と机を叩いた。


「おい、なに普通に参加してんだっ!!テメェらを呼んだ覚えは―…」

「あー俺が呼んでおきやした。祝われ慣れてない土方さんの恥じらいたっぷりのお礼の言葉が聞けますぜ、って言ったら是非参加したいって言うもんで。」

「テメェ、なに勝手なことしてんだァァァ!!」


悪びれる様子もなくしゃべる総悟の胸ぐらを掴んで怒鳴れば、うるさいとばかりに指で耳を塞がれた。


「良いじゃねぇですか。パーティーってのは大勢でやるから楽しいんですぜ?」

「そうだよ、総一郎君の言う通り。こーして銀さんもケーキを食べれて一石二鳥。」


俺と総悟のやり取りに目もくれないで黙々とケーキを堪能している銀時の姿に、怒鳴る気力も失せてしまう。
それにせっかく用意してもらったパーティーなのだ。
乱闘でぶち壊しにするのは本意ではない。


「…ったく、好きにしやがれ。」






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