短編
□輪廻転生
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「人って…死んだらどうなるのかな?」
冬の海辺を歩いていた風之助が賢治にこう聞く
「そんな事、俺が知るはずないだろう」
「だよね…ごめん、愚問だね」
うつ向く風之助を他に賢治はさっさと歩いていった
「ねぇ…僕は死んじゃうんだよね?」
あれから一年、病院の白いベッドの上で風之助は賢治に訪ねる
「知らないが?」
「そっか…」
『白血病』それが風之助の言われた病名だ
「武者小路はどう思っているのか?」
「お願いだから…風之助って呼んで?」
賢治は誰に対しても名字で呼ぶ。もちろん風之助も例外でない
恐らく、ずっと名前で呼んで欲しかったのだろう
「…風之助はどう思っているのか?」
「…多分…死ぬと思う」
賢治は顔を歪めた。まさか自分の死が分かっているとは思っていなかった
「あと何日くらい?本当は知ってるんでしょ?」
「…」
「言って?言ってくれないと切なくなるから…」