短編
□俺の特権
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賢治がコーヒーを飲んでいると玄関からドアの開く音がした
今日は平日で今は昼だからこの時間に帰ってくるのは一人しかいない
「柊…」
道大の顔には痣や擦り傷があった
服も泥だらけでなので恐らく身体中傷だらけであろう
賢治が目を丸くし、独り言のように呟く
「喧嘩か?」
「てめーには関係ねーよ」
賢治に心配をかけたくない道大はそそくさと部屋に戻る
こんな無様な格好…見て欲しくなかった
「痛くはないのか?」
痛いに決まってんだろ…
これ以上俺に構うな
「手当してやる…」
しかし道大は足を止めずに部屋に戻った
部屋に入り道大はベッドに倒れこむ
擦り傷が服に張り付いて痛みが増す
道大が服を脱ぐと賢治はノックもせずに入ってきた
「てめー…ノックしろ。失礼だろーが」
「貴様なら別に見られて困る物もないだろう…」
賢治は道大の体に目を移す
「喧嘩ではないのか…」