短編
□雨の日の宝石
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雨の日にお散歩をしていると
僕は綺麗な宝石を拾った
黒く輝くその宝石は
まるで大切な人みたいだった
僕が宝石をポケットにしまうと
黒い影が目に写った
傘もささないその黒い影は
紛れもなく大切な人だった
雨が強く大切な人を打ちつける
雨に打たれる大切な人は
どこか悲しそうだった
僕が側にかけよって
大切な人に宝石を渡した
大切な人は僕の名前を呼び
嬉しそうに僕を見つめた
大切な人はポケットから何かを握ると
僕のポケットの中に入れた
僕がポケットの中から出すと
青く輝く宝石だった
貴様に似ていると僕に呟き
ほんの少し笑ってくれた
雨は弱まった
僕は嬉しくて嬉しくて
大切な人を抱きしめた
固い表情も濡れた長い髪も
なにもかにも大好きだった
大切な人は僕の背中を優しく撫でる
僕が大好きと囁くと大切な人は顔を赤くした
雨は止んだ
僕の可愛い大切な人
明日はきっと晴れるよね?
雨の日の宝石 〜fin〜
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