短編

□雨の日の宝石
1ページ/2ページ

雨の日にお散歩をしていると



僕は綺麗な宝石を拾った



黒く輝くその宝石は



まるで大切な人みたいだった



僕が宝石をポケットにしまうと



黒い影が目に写った



傘もささないその黒い影は



紛れもなく大切な人だった



雨が強く大切な人を打ちつける



雨に打たれる大切な人は



どこか悲しそうだった



僕が側にかけよって



大切な人に宝石を渡した



大切な人は僕の名前を呼び



嬉しそうに僕を見つめた



大切な人はポケットから何かを握ると



僕のポケットの中に入れた



僕がポケットの中から出すと



青く輝く宝石だった



貴様に似ていると僕に呟き



ほんの少し笑ってくれた



雨は弱まった



僕は嬉しくて嬉しくて



大切な人を抱きしめた



固い表情も濡れた長い髪も



なにもかにも大好きだった



大切な人は僕の背中を優しく撫でる



僕が大好きと囁くと大切な人は顔を赤くした



雨は止んだ



僕の可愛い大切な人



明日はきっと晴れるよね?



雨の日の宝石 〜fin〜

後書き→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ