アス受け文

□I love Daddy
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 パトリックは困惑していた

 愛する妻は30分ほど前、一人で買い物したいからと一人息子を夫に押し付けどこかへ行ってしまった

 仕方なくデパートの休憩室へ行き、息子を一人で遊具へ向かわせた

 折角の休日に買い物など面倒臭いが、ここで家に居たいなどと言えば、レノアに反対されるに決まっている。 やれやれと休憩室の椅子に座って息を吐く
 やっと落ち着けたと思っていたら、小さな息子はさっき遊び始めたというのにもう戻ってきた

「もう遊ばないのか?」
 少しイライラした口調になったかもしれない。息子は小さく怯えたがはっきりと言った

「父上の側にいます」

 ちょこちょこと歩いてきてパトリックの隣に座る

 

 困った!!

 

 パトリックは子供を楽しませる術など持っていなかった。小さな子供がじっとしていられるわけもなく、息子アスランはそわそわとパトリックの様子を伺っている
 パトリックはソファに座っているとは思えない正しい姿勢で固まっていた。内心、小さな子供にどう対処していいか分からず冷や汗をかいている
 息子の方はというと、寂しげな瞳でちらちらと父親を見上げていた

『レノア!!』

 心の中で妻に助けを求めながら視線を彷徨わせたその先に、パトリックは助けてくれそうなものを見つけた

 

「アスラン、アイスクリームは好きか?」

「はい」
 突然の質問に驚きながらも、父親が話しかけてくれたことが嬉しくてアスランは素直に答えた

「食べるか」
 自分の見つけ出した答えが正しかった事を感じてパトリックはほっとして立ち上がった
「はい!!」
 アスランも慌ててソファから降りる

 突然、軟らかい感触が手を掴むのに驚いてパトリックは振り返った。喜色満面に自分の手を握る息子をまともに見て狼狽する

 ここでも、パトリックは声にならない悲鳴を上げていた
 元来パトリックはアスランのことをレノアにまかせっきりであった。生まれたとき、赤ん坊のアスランがあまりに弱弱しく小さく見えて、抱いたら壊れるんじゃないかと怖くて触るのも躊躇われた。その後は仕事で忙しくしている間に、あっという間に大きくなってしまった(といっても現在アスラン4歳前

『可愛すぎる!!』

 息子は自分に似ることなく、ますますレノアそっくりに育っている。息子というよりは娘のような愛らしさで見上げてくるアスランに

『自分が守らねば!!』

 こんな可愛いのではすぐに悪い虫が寄ってくるに違いない!!なんとしても守ってやらねば!!
「父上?」
 パトリックがアスランの将来についてこまごまと計画を立てそうになっていたとき、何も言わずに自分を凝視する父親を不審に思ってアスランが声をかけてきた。急激に思考が戻される

「あ、ああ、アスラン、アイスは何がいい?」
 息子の手を握り、店へと向かう。まるで初めてレノアと手を繋いだときのように頬を染めて


 

 

「アスラン、美味しいか?」
「はい!父上!」
 口の周りをべたべたにしながら嬉しそうに答えるアスランに笑みがもれる。そのとき、はっと気がつく

『カメラ!!』

 このとき初めてこの愛らしい姿を残しておかねばと気がつく。が、あいにく近くに売っているところはない。心の中で歯噛みしながら、一所懸命食べるアスランに顔が緩むのをパトリックは止められなかった

 

 


 

 次の日、アスランは熱を出した

「昨日までは元気だったのに・・・あなたがアスランにアイスを丸ごと1個食べさせるからですわ!」
「わっ私はっアスランが全部食べるというから・・・」
 責めるレノアにパトリックは反論できない。アイスを食べる姿が可愛いからといって、アスランが全部食べるのを止めなかったのは自分だ
「まさか熱を出すとは思わなかった」
「あなた!アスランはまだ小さいんです。大人と同じじゃありません」
 確かによく考えればわかることだ。パトリックはブラックホールより深く反省していた

「二人とも喧嘩しないで!」

 子供のすれた声が聞こえてきてパトリックとレノアは振り返った。ドアのところに熱で顔を赤くしながら立っていたアスランがめそめそと泣き出す
「アスラン!!」
 慌てて二人はアスランに駆け寄る。二人の声に寝ていたアスランは目が覚めてしまったのだ。聞いた事もない声を荒げた様子に不安になり様子を見に来たのだった

「アスラン!私達は喧嘩してるわけじゃないのよ?!」
「そっ!そうだぞっ!」
 慌てふためく二人にアスランは顔を上げた。大きな瞳一杯に涙が溢れている
「アスランは何も心配なくていいの。一杯寝て早く熱が下がるようにしましょうね」
 レノアはアスランを抱き上げると、パトリックに一瞥をくれてから部屋を出て行った

「・・・」

 部屋で一人、パトリックは力なく項垂れた

 

 その後、パトリックとレノアは息子の教育について口論したとかしないとか

 その夜、アスランの寝顔を寂しそうに見つめるパトリックがいたとかいないとか

 

 

END


 

  

 

 

 

アイス食って熱上げたのは私です(滝汗)
コーディネーターはアイスぐらいで熱出したりしないと思う
タイトルは英語あってるか分かりません
パトリックは親バカだといいなと思います
ラストup2005.7.14

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