アス受け文
□雛祭
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「ねえアスラン」
「何?」
小学校の帰り道、いつものようにキラとアスランは仲良く家路をたどっていた。
キラは家が近所で本当に良かったと思った。おかげで毎日、朝から晩までアスランの可愛い顔が拝めるのだ
「○○ちゃん家で雛壇飾ったんだって」
「へぇそうなんだ…」
「…●●ちゃんと■■ちゃんが見に行くって言ってたよ」
「…そう」
二人の会話は何時になくたどたどしかった。実はキラはあることを聞きたくて仕方が無かったのだが、タイミングを掴めずにいた
「アスラン」
「何?」
沈黙
「今年もアスラン家で雛壇飾るの?」
「…く」
やっぱり聞かれたかとアスランは嫌な汗を流した。
実はアスランの家では毎年雛壇を飾っていた。日本の風習をどこからか聞いてきた祖父母がアスランに送ったのだが、残念ながら(?)雛祭が女の子の祭りであるということは耳に入らなかったようである
で、折角贈ってくれた祖父母のために毎年雛壇の前で写真を撮って送るのだ。勿論着物を着て
最初それが女の子の祭りだなんて知らなかったアスランは無邪気に雛祭を喜んでいたが、小学生にもなるとさすがに現実を知りショックを受けたのだった
「見に行ってもいい?」
キラはアスランを見るがアスランは顔を背けたまま
家族ぐるみで付き合いのあるキラとアスラン。どうせダメだと言ってもキラの母カリダも来るのだからムダだと分かっている
アスランは項垂れるしかなかった
きちんと着付けをされたアスランは女の子にしか見えない
鏡の中の自分を見てアスランはため息をついた。自分は男のはずなんだけど…
「アスラン可愛い!!」
「キラ…」
雛壇を見に来たカリダと連れ立ってキラもやってきた。
カリダはそのままアスランの母レノアと話しこんでしまう
いつもなら飛びついてくるキラが少し離れたところ見守っている。不思議に思っていると
「?」
「…えと、その…アスラン、綺麗…」
いつもなら誰にも遠慮なく可愛い!!と言ってぎゅうぎゅうとアスランを抱きしめるキラが顔を赤くして見つめている
急に恥ずかしくなってアスランはキラがまともに見れなくなった
「あ、ありがとう…」
「キラはホントにアスラン君の事が好きよねぇ」
二人の母は微笑ましく見ていた
いくつか写真を撮りその日は終了した
次の日、じっと見つめてくるキラにアスランは居た堪れなかった。
「何?僕なんか変?」
「アスラン!」
「ふぇ?!」
「アスランって本当綺麗なんだね!ずっと可愛いと思ってたけど、その辺の女の子よりずっと綺麗!!」
目を輝かせて言うキラに目眩がする
「あ、ありがとう。でも!・・・男に綺麗ってどうなのかな?…」
キラは一応褒めているのだろうと思い礼をいったが、アスランの語尾はだんだん小さくなった
「アスラン」
「な、何?」
力強く肩をつかまれビクつくアスラン
「可愛いは正義なんだよ!」
「ぇ?」
「綺麗はもっと正義なんだよ!」
キラにきっぱりと言われ、押しに弱いアスランはそうなんだと曖昧に納得するしかなかった
END
間に合ってよかった
初稿2009.3.3
ラスト2009.3.15