小説

□love my family!
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「ニール!オキロ!オキロ!」

「んぅー....ハロあと5分...ぅうう"....」

もぞもぞと布団の中で寝返りを打ちながら、ニールは呻き声をあげた。しかしニールの要望はペットロボのハロには受け入れられず、マシンボイスがせわしなく部屋に響いた。

「グラハムモウオキテル!ニール!オキロ!オキロ!」

ポスンポスンと布団の膨らみを叩くように跳ね回るハロに、ニールは眉をしかめた。しかたなく顔を布団から出してハロを探すと、朝特有のヒヤリとした空気が心地よい温もりを奪っていく。起き難いのは間違い無い。
仕方なくニールが布団を被ったまま怠そうに上体を起こし辺りを確認すると、ハロは薄緑色のカーテンを、そのアームで器用に開けていた。陽射は室内の寒さからは想像つかない程、さも暖かそうである。


「おはよう.....ハロ」
彼の栗色の髪は、元来の癖っ毛とねぐせがあいまってヒドイ有様だ。ニールは眠た眼のまま、わしわしと自分の頭をかいた。
そして未だに辺りを飛跳ねるハロをなんとか捕まえて、ズルリとベッドから落ちるように降りた。
....彼は冬に弱いのだ。
「グラハム....おはよー」
ボサボサの頭と皺くちゃのパジャマのまま、ニールはリビングに向かった。スリッパもはかずにペタペタと幼児のように可愛らしい音をたてて歩くニールに、寒いのなら素足で歩くのをやめたらいいのにと、グラハムは苦笑した。

「そろそろ起きる頃だと思ってココアをつくっておいたから。ほら、あったまるよ?」
グラハムが差し出した青のマグカップを受け取って、ニールは一つ大きな欠伸をしてソファーに座った。ある程度の弾力のあるソファーは、薄いオレンジ色をしている。暖色にすることで、せめて見た目の寒さだけでも和らげようとしているのもあるが、家具の色は殆どニールの趣味だ。
ちなみに、この部屋は大体が緑とオレンジで構成されている。『緑って目にいいんだよな?』と『ハロってすごく可愛いよな!』ということらしい。
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