3万HIT記念リクエスト
□A lie isn't told to my heart
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昼休みになるまで、一度たりとも井上が笑っているところを見ていない。
それどころか、誰が話し掛けても…“親友”であるたつきが話しかけたとしても…一言二言返す程度。
“元気がない”なんて言葉で片付けられる程…簡単ではない気がした。
…ここで心配しても、悩んでいても仕方がない。
俺にどうこうできるものではないだろうが…まずは声を掛け、疑問を投げてみることにした。
「…なぁ、井上…」
「!?く、黒崎君……ごめんっ!!私ちょっと部室に行って来るね!」
話し掛けて約5秒。
…いくら鈍い俺でも…“避けられている”ことに気付く。
『な…なんなんだよっ!??…俺なんかしたか???』
さらに数を増してゆく疑問符に、心の迷いは加速する。
「…一護…ちょっといい?」
「たつきっ!丁度良かった!!俺もお前に聞きたいことが…」
「それって…織姫のこと?」
『!?』
俺が言う前に発せられた“キーワード”に、驚きと不安が交錯する。
…どうやら俺だけじゃなく、たつきも同じように感じているらしい。
「…あぁ」
たつきに促されるまま廊下へ出ると、静かに話せる場所を探して…俺達は屋上へ向かった。