2万HIT記念リクエスト

□この手を開いて
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「リクオ君!ジャンケンしよ?」

「い…いいけど…どうして??」

「いいから!…ジャンケン…」

なんの説明もないまま始まった勝負の行方は…カナちゃんがチョキ、ボクがグーで…

「うー…負けた」

「…なんなの!??」

「リクオ君!もう一回!!」

「???」

今度はカナちゃんがパー、ボクがグーで…カナちゃんの勝利。

「やった!!…じゃあリクオ君、日直の仕事手伝って!!」

「えぇ!?…さっきはボクが勝ったんだけど…」

「知らない♪じゃあ黒板消しの掃除お願いね!」

「…はーい」

…手伝うことが嫌なわけじゃなくて…むしろカナちゃんの力になれるなら、喜んで手伝うけど…これはどこか腑に落ちなかった。

「ジャンケンなんかしなくても、言ってくれれば手伝うのに…」

そう言うと、カナちゃんはなにも答えずに…ただ、いたずらっぽく笑った。
…その笑顔を見ると、結局ボクも嬉しくなって…この胸にあったモヤモヤした気持ちは、いつの間にか消えている。

「次はお花の水換えよろしく!…私は日誌を先生に渡して来るね!!」

「それじゃ教室で待ってるから!」

清十字団へ二人揃って行くのが最近は定着し…別々に行くと、巻さんや鳥居さんに“ケンカしたの?”って聞かれるから(それもしつこく)…できる限り二人で行こうと、カナちゃんと話し合って決めた。

「うん!…あ、そうだ…」

「…忘れ物???」

教室を出たところで、なにかを思い出したかのように戻ってきたカナちゃんは…

「…リクオ君、もう一回だけジャンケンしよ?」

再びの勝負要請。

「…今度はなにをすれば良いの?」

ボクはカナちゃんに、笑いながら問い掛けた。

「…私が勝っても負けても…一緒に帰って」

「…うん!」

ボク達は声を揃えて、最後の大勝負に臨む。

「ジャンケン…」

…結果は、カナちゃんがパーで、ボクもパー。

「あいこ…だね」

「…どうしよう…」

少しだけ困った顔をするカナちゃんを見て、ちょっとだけ…可愛いと思った。

「…だ、大丈夫だよ…ボクも一緒に帰りたいし…ね?」

なにが“大丈夫”なのかよくわからないけど…こんなことでカナちゃんの辛そうな顔は見たくない。
…ボクがそう言うと、カナちゃんは嬉しそうに笑ってくれた。その笑顔につられ、ボクも自然と笑顔になる。



…二人で開いたこの掌に…ボクの心が高鳴るのを感じた。




−Fin.−
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