ショートストーリー

□SF 刑法犯取締局K4S惑星51分署
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「コーヒー、砂糖なし、ミルク少し」サイトウ巡査は51分署の食堂のカウンターでコーヒーを給仕に頼んだ。

「どうぞ」給仕は巡査に熱いコーヒーを差し出した。
「6番街の殺人はどうなりましたかね」給仕の男はサイトウに尋ねた。

「ああ、今朝捕まったさ、あれは」

「よかったですね」

「犯人は若い男だ、怖い話さ」

「まったく物騒な話です」
「一週間前に銀行に強盗が入ったばかりだしね。ここのところ凶悪な事件が続くよ。じゃあね」サイトウ巡査はそう言って、コーヒーを飲み干して出て行った。
サイトウ巡査は歌手の警護を命ぜられていた。〈宇宙の王子と王女〉というディュエットグループが午後0時05分着の特別機で空港に来るという。

サイトウは仲間の巡査と空港に向かった。

午前11時00分に空港ロビーにサイトウ巡査達は着いた。

警護は巡査20名で編成されていた。

警護のリーダー格のヤナミ巡査が一通りの説明をした。

歌手のファンが空港に押し掛けている。ティーンエイジャーの男女の群れが空港ロビーその他に溢れていた。

午後0時15分に特別機は空港に着陸してその姿を現した。
タラップを降りてそのまま宿舎のホテルまでリムジンで直行するという。

警護のメンバーがタラップの近くに集まっていた。

白いリムジンがタラップのすぐ近くに止まった。

しばらくして歌手が姿を現してゆっくりタラップを降りて来た。

歌手2人はリムジンに乗り込んだ。

やがてリムジンが動き始めた。

警護のメンバーはリムジンを見送った。

30分後、サイトウ巡査はパトロールカーの助手席にいた。

7番街に入ってから一回りしてから51分署に戻った。
サイトウ巡査は一人食堂で食事を取った。

40分の休憩の後、また街にパトロールに出ることになっている。

「やあ、サイトウ、いいかい」同僚のオーエン巡査がサイトウの隣に腰掛けた。
「歌手の警護に行ったのかい」

「そうだよ」

「今日もいい天気だな。明日休みなんだけどお前は」
「明日は休みじゃないよ、僕は」

「残念だな、飲みに行こうと思ったのに」

「来週の水曜日が休みだ」
「そうか」

「じゃあね、行くよ」

「又な」

刑法犯取締局に入って6ヵ月、サイトウの警官生活は過ぎて行った。

(おわり)

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