ショートストーリー

□幸福の街
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マスコミ(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)が消えてから30年経った。

Y町に住む小原里子は勤め先の法律事務所から仕事を終えて帰宅途中だった。

彼女は23歳、一人暮らしだった。

彼女は7階建てのマンションに住んでいた。

午後9時に帰宅した。

遅い夕食を済ませた。

彼女の本棚には〈みじめな放送局〉〈みじめな新聞〉などなタイトルの本が並んでいる。

ベッドに潜り込んで眠った。

翌朝は5時に起きた。

5時25分にマンションの自宅を出た。

依頼人に会う仕事の予定が入っていた。

彼女の勤める法律事務所の弁護士、野洲光彦(やすみつひこ)とS市内で依頼人と会う。

午前6時、駅前で会った。
「依頼人はまだですか」

「まだだ」野洲は言った。
5分後、依頼人、溝口栄二が来た。

「おはようございます。それでは」溝口はそう言って、溝口の車に野洲と小原里子を乗せた。

「これから現場へ行きます」溝口は運転しながら言った。

「だいたい30分位です」溝口は言った。

野洲と小原は後部座席に乗っている。

「本高(もとたか)が犯行を行なった現場をお見せします」溝口は言った。
野洲は身代金目当ての誘拐事件を抱えていた。

溝口はその事件の被害者だった。

溝口の息子、小学校1年が本高と言う男に誘拐されたのである。

事件発生1週間後であった。

30分後、事件現場に着いた。

3人は車から降りた。

小屋があった。

「この小屋に息子は監禁されていました。携帯電話から本高から指示が出されました」溝口は言った。

小原はカメラで小屋などを数十枚、写真に撮った。

「以上です。いいですか」溝口は言った。

「わかりました」野洲は言った。

3人は車に戻った。

車はS駅に向かった。

「それでは」野洲は言った。

「私はこれから会社がありますので」溝口はそう言って一人、勤務先の会社に車で向かった。

7時50分であった。

野洲と小原は野洲の事務所へ向かった。

「小原さん、この事件だが依頼人から何か言って来たら知らせてくれ」事務所で野洲は言った。

「はい」

「僕は出掛けて来る」野洲はそう言って事務所を出た。

午後5時過ぎ、彼女は退社した。

(おわり)

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